稲岡辰夫の重大事故から子供を守るセミナー資料室
学校行事中の重大事故防止
海の家、山の家、遠足、社会見学・・・
学校行事は様々な環境で行われます。
このサイトでは慣れない環境で
単純なミスをきっかけにミスの連鎖から重大な事故を起こさない
ために信頼性設計からのヒントやフェイルセーフやフォルトトレランス(バックアップ)の応用を取り上げています。
あなたが直接・間接的に学校行事の運営に関係する場合に
子供の命を守るためのヒント・参考に活用していただけたら幸いです。
安全管理者の方には組織でリーダーシップを発揮するための心構え・考え方の参考資料を用意しています。
子供を守る危機管理に必要なリーダーシップ:参考資料
創作幸房は3年前に学校行事中の水難事故で長男を亡くしました。
「どうしてそんなことが」と思う気持ちもありましたが、
責任を追及するより原因分析と事故防止を優先して取り組むことにしました。
事故当事者の教職員の方と分析と再発防止対策に取り組む中、
あることに気付きました。
教職員の方は確かに子供を育てることに経験と知識・技能を持っている。
そして育てることに愛情や情熱、意識を集中している・・・
しかしその前提となる守ることに関しては
必ずしも十分ではない現状を感じ取りました。
普段は比較的安全な教室の中で自分の担当する子供を育てています。
しかし一歩校外に出て担当外の子供といっしょに行動している時
どんな危険があり、どのように備え、いざという時どう行動すべきか?
命を守る観点から子供を危機から守る知識・経験、特に心構えと
実際の方法など決して十分とは思われない現状に危機感を覚えました。
自分の学校で起きるわけがない・・・
自分ならそんな簡単な失敗は絶対にしない・・・
心のどこかにそんな考えをおもちではありませんか?
1000年に一度だって起きてほしくないとご賛同いただけるなら
ご一緒に命を守ることの見直しをお願いしたいと思います。
今まで起きていないこともだから大丈夫だとはいえない現状があります・・・
教職員の方の子供を育む姿勢には今も感謝しています。
しかしながらなるべく多くの教職員の方に命を守る安全・危機管理に関して
今一度現状を見直し、改善していただくことで子供のためにリスクを下げていただきたいと感じています。
私自身も身近にできることから始めていますが、地域の教育機関からの理解をいただいて、すでに管理者として200人を超える校長先生・教頭先生方、延べ20を超える学校と教職員1200人を超える方々にセミナーに参加していただきました。
参加された多くの方からご賛同いただいている考え方があります。
「ミスを起こさない」という考えは必要で大切ですが
この考え方だけでは重大事故から子供を守れません・・・
重要なことは
「ミスは起きると考えてミスを重ねないように備える」ことです。
「絶対ミスを起こさない」ことだけに集中し過ぎると
いざミスを起こしてしまうと冷静さを失うことがあります。
また自分がミスをしないように集中していると
他人のミスには気づいてもバックアップに気付かないこともあります。
ミスは必ず起きると考えて
重大事故に至る前の少しでも早い段階で食い止めることが肝心です。
自分がミスを起こさないようにすることは大切ですが、
学校行事ではどこかでミスは必ず起きます・・・
欠かせないことはミスから生じる危険につながる結果には
バックアップを用意して、組織全体で備えることです。
ミスはいつかどこかでだれかが必ず起こすものだと考えて、
ミスの連鎖を断ち、ミスの結果が次の段階に波及していくのを防ぐために
少しでも早期の段階で食い止める仕組みを作って備えることが重要です。
遊泳訓練の事例は経験した事故に基づいて再構築されています。
(遊泳訓練の事例では当事者へのインタビューに基づく分析もおこないましたが、
内容が独り歩きすることのないようにセミナーのなかで慎重に解説しています。)
ボート訓練と天窓からの転落事例はニュースやインタビューを基に原因を分析していますが、ある特定の事故として取り上げているわけではありません。
目的は「子供たちを重大事故から守るため」の事故の予防や再発防止です。
非難・中傷・責任追及はこのサイトの目的ではありませんので、
ご理解いただけますようお願いいたします。
資料では以下の内容公開しています。
子供の命を守るための質問にはお答えします。
(またご連絡はメールでいただければ幸いです)
■海の家:遊泳訓練事故から学んで原因と対策を考える
1. 事例から学ぶ:ミスの原因を階層的に整理する
2. 原因結果の分析/ロジックツリーと防止策の例
3. 原因の分析と再発防止を考える
4. バックアップの重要性と検証
■ミスは起きると考えて連鎖を防ぐ仕組みを作る
信頼性設計の考え方を命を守る仕組み(組織)に応用する
1.フェイルセーフの考え方
2.フォルトトレランスの考え方
3.フ-ルプルーフの考え方
■その他の事例をシュミレーションとして分析する
1. 海の家:ボート訓練事故を参考として学ぶ
2. 校舎屋上の天窓からの転落事故から、学ぶ
■仕組みを作る参考:.チームで動く時の大切な心構え
ここからが資料になります:
海の家の事例(実際に起こった事故にに基づいて再構築した事例)
事例1.海の家の遊泳訓練での事例(特別支援学校)
状況
事故当日の朝は最後のイベントで遊泳訓練のためテラスに集合します
各部屋ごとに荷物を別室においてからテラスに移動することになりました
臨時職員と担任の二人で保護のいる子供5人を担当することになりましたが
移動途中で一人の多動傾向の子供が先に走り出したため、
臨時職員は急いで一人の手を引いて後を追いかける展開になりました
担任は自閉傾向のある子供三人を抱えることになり、
移動の途中で座り込んだ一人を施設の中の廊下に残して、
二人と荷物をいったん引きついですぐに戻ろうとします
推定の1分後に廊下にもどりましたが、座り込んだ生徒を見失ってしまいました
推定5分後には危機管理者のもとで捜索隊を発動しています
しかし生徒は2時間後に遊泳訓練予定の海で心肺停止で発見されました。
再発を防ぎ、事故を起こさないためには何が必要でしょうか
それでは実際にどうすべきか?
システムの利用者の安全を守るために確立された信頼性設計の手法を
人間のシステム:組織での仕組みに応用してみましょう。
資料の活用は行事に関係する方のアイデアに期待していますが、
参考に二種類の活用の仕方を記しておきます。
一つ目はアイデアがなかなか出てこないときは
直接のヒントや方法として参照してください。
二つ目は仕組みを考え運用する時
自分の考えた方法がどれに相当するか考えてみてください。
自分の方法がどれかに直接相当するか?
または組み合わせになっているか?
考える過程で
その方法が一番良い方法なのか?抜けや改善すべき点がないか
など視点を変えてチェックすることができます。
誰もが起こす単純なミスはこれらの工夫が有効です。
油断などがもたらす、信じられない単純ミスは有効にフォローアップできます。
誰も思いつかない特殊なミスはある段階をすり抜ける可能性が高いですが、次の段階での備えが有効となるよう備えることはできます。事前のシュミレーションの幅と深さが大切になります。
もし対応が不可能と感じるなら計画そのものを見直すことが大切です。
育てることを優先(行事の実施)して守ることをないがしろにすることはあってはいけないはずです。
また去年まで事故なくやってきたから、今年も同じように実施する考えにもリスクがあります。
必ずその意味や環境(天候や社会状況も)はどこか変化しているはずです・・・
1人の責任に頼りすぎないで、組織として全体で備える考え方です。
子供たちをご一緒に守っていただけますように心からお願いします。
今まさに原発事故が進行中ですが、原因と対策には共通する内容が含まれています。
この資料はご自分の責任でお使いください。
使用した結果には直接の責任は負いかねますことをご理解ください。
教職員や保護者の方の啓発や研修会・勉強会などを主な対象と考えていますが、
学校行事を支援して下さる方や地域で見守って下さる方にも参考に役立てていただけましたら幸いです。
繰り返しになりますが、子供達を取り巻く環境の変化を見つめ、
安全・危機管理の意識を変えて危険につながるミスを重ねないように備えることで
ご一緒に子供を守っていただけますようにお願いいたします。
資料にはまだまだ至らない点や誤りも含め、改善すべき点があります。
お気づきの点ございましたら、ご指摘やアドバイスをいただけましたら幸いです。
今を生きる、未来のある子供たちを守るために
常に改善・改訂に努めたいと考えております。
(ご協力に感謝いたします)
掲載ガイドライン
事故には様々な原因・要因があり、再現や分析には慎重な検証と対応が必要です。サイトの訪問者の方に誤解を与えたり不快感を感じるような表現は排除するように努めます。事実をお伝えし、リスクの低減と事故の防止に少しでも貢献できますようにさらなる改善に努めて参ります。